平 尾
吉原さんがバレーボールを始めたのはいつごろからですか?

吉 原中学に入ってからですね。小学生のときはバスケットをやっていて、中学でバレー部に入りました。私は北海道の出身なんですが、たまたま私がバレー部に入ったときに、「北海道一」といわれた監督さんがいたんです。

平 尾それは、ラッキーでしたね。

吉 原そでも、すごいスパルタでした(笑)。

平 尾先ほども話に出ましたが、女子バレーは昔からのスパルタ的な指導が残っている競技のひとつですよね。大松監督のスタイルが、成功モデルとして残っているんでしょうか。いろいろな人と話をすると、バレーはいろんな意味で古い部分の残っている競技だと指摘する声も耳にしますが…。

吉 原ずいぶん変わってきたとは思いますが、時代に即してないなと感じることもありますね。過去の栄光が大きすぎたのでしょうか。そのために、新しいものをつくり出せなかったり、取り入れられなかったりするのかなと思います。過去の栄光も大切だけど、時代は流れているし、現在はどうなのかをしっかり見ないといけないと思います。

平 尾大なり小なり、どの競技でも同じですね。なかなか、過去の栄光から脱却できない。成功体験に習ってしまうということが多くて、新しいものを生み出す作業をなかなかできません。伝統のあるチームは、伝統を継承することに力を注いでしまうんのですが、それがいちばんよくないケースだと思っています。それで、どうしようもないほど落ち込んでしまってから、ようやく改革に着手する。もし、本当の意味でチームを継続させていくならば、「前の年と同じことをしない」という伝統を作らないと(笑)。

吉 原本当に、そうですよね。

平 尾「新しいことをする」、「前のことを否定する」、「常に変化する」ということが伝統であると、みんなに認識させておかないと。神戸製鋼も7連覇以降、一時的に優勝から遠ざかりましたが、その時期は優勝体験がいろいろな意味で伝統となっていたんです。伝統を常に破壊する力がチームになくなっていたんですね。それがないと、強さの維持は難しいと思います。

吉 原私は、よく平尾さんの本などを読ませていただくのですが、常に前を見て自分で道を開いて行こうとする姿勢が、素晴らしいと思っていました。新しいことに挑戦するのは、怖いと思いますが、それでも平尾さんは挑戦されるでしょう。やはり、ある程度リスクは抱えていかないとできないし、変わらないですよね。

平 尾でも、僕は「何々のために」という使命感は、あまり持っていないんですよ。自分でやりたいように、しているだけなんですよ(笑)。

 

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