平 尾要するに日本のラグビーの場合、まだ本当のプロがいないということなんですよ。オーストラリアやニュージランドのプロというのは、自分で生活をしっかりと決めて、午前中でもウエイトトレーニングは何時からと決めてする。そして、午後からのチーム練習のときには、それに合わせられるようにコンディションを整えて出てくる。そういうプロの生活の仕方があるんですよ。ところが、日本の場合は全くそれの見本がいない。その点を僕も散々言っているんだけど、プロになるとスポーツにも義務感が発生するから、練習は「したい」「したくない」ではなくて、「しなければいけない」というところがある。それを日本人は、自己管理しながらできる人間が少ない。何か決め事を作ってやらなければ、一人ではできないというところがある。でも、プロというのはそうではなくて、自分でそういうことも考えてできなければいけない。その習慣がないから、朝、ずっと寝ているとか、パチンコへ行って昼から出てきたりということが起こる(苦笑)。

土 田そうなんだよ。だから、最初のうちはプロのコーチとかが仕組みを作ってやらないとね。日本協会が今年の3月から代表選手とプロ契約をして、そうしたことに踏み切ったけど、ウエイトトレーニングコーチがきちんと付いて、本当に選手がトレーニングできたか。午前と午後の二部練習を導入して、それがきちんとできたかというと、どうだったのかと思うんですよ、選手に聞いても。まだ、サントリーの外人プレーヤーの方が、きちんと朝からやって、昼もやって、食生活でも酒もあまり飲まずに自己管理もしている。だから、彼らを見習った方がずっといい。そういう意味からすると、新しいスタイルをコーチとかも含めて作り上げてやらないと、「自分は自発的にプロになったのだから、朝から練習する」という選手は、なかなか出てこないよね。

平 尾そうなんだよ。そういう一つの雛型というか、モデルがないと、本当にいい生活のパターンが分らない。例えば週4日は午前中にウエイトトレーニングして、昼の食事ではこれだけの栄養を採って、合同練習はこれだけする。そして、週2回くらいはオーバートレーニングを避けるために休まなければいけないというように、計画的なスケジュールを作ってやらないと。ジャパンにしても、初めてプロ化になって、誰もプロの経験をしていないから、その辺の進め方がたぶん分らなかったのではないかと思うけど、これからは、そういうことをどんどん学習しながら、いいプランを立てていかなければいけない。

土 田本当にその通りだと思うね。

 

 
 
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