平 尾京都府としては持ち直してきたという話だけど、伏見工としては部員数に大きな変化はないんだろう?
高 崎ずっと変わらず、80〜90人ぐらいをキープしている。少子化の影響で全体の生徒数が減っているので、割合的には増えていることになるよね。
平 尾それだけの大所帯になると、たとえばレギュラーになれずにラグビーから離れてしまう生徒とか、問題行動を起こす生徒とかもいるわけでしょう。高崎の場合、そういう生徒に対する指導もあって、同じラグビーに携わっていても僕とはまったく違う苦労があるよね。
高 崎そうだね。僕の場合、ラグビーの指導者ではなくて、教育者であるという位置づけが自分の中にあるので、指導で重点を置いているのはその部分。レギュラーになれずにラグビーから逃げていく生徒を、どうやってラグビーにもどしてやるか。あるいは、やる気を失ってしまった生徒に、どうやってやる気を持たせるか。常に生徒を見つめて、「今、やる気を失っているな」「メンバーから外されて落ち込んでいるな」と様子をうかがっていくことから指導がスタートする。プレーに関する指導はむしろ少なくて、ヒントを与える程度だね。
平 尾僕らの時代は、山口(良治)先生に海外チームのビデオなんかを見せてもらって「わー、すごいな」と言っていたけど、今はCS放送などでいくらでも海外のゲームが見られる。インターネットや雑誌などから得られる情報もたくさんあるし、高校生でもラグビーに関する最先端の情報を持っている。うまくなりたいと思えばそういった情報を入手することもできるわけだから、高校生レベルではスキルの枝葉的なことよりも、本気になってラグビーに取り組むということを指導していく時代なんだろうね。
高 崎そうだね。山口先生から声をかけてもらって伏見にコーチとして戻ったばかりのころは気負いがあって、「こんなコトもできる」「こんなことを知っている」というように自分が持っているスキルをすべて出して生徒たちに教えようとしてきたけど、それは押しつけであって、自己満足でしかなかった。ヒントを与えれば、あとは生徒たちが考えてやっていくんだよね。
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