平 尾元木も知っているように、今回、僕はワールドカップの地上波の解説を引き受けたんだけど、なんでやる気になったといえば、実は日本のラグビーがトップリーグの始まったここで、ワールドカップで成績を残せなかったような場合、非常に厳しい目を向けられる。そうなったときに、日本のラグビーに果たしてそれに絶えられるだけの力があるだろうか、ということなんだよ。これが(開催国の)オーストラリアのように、耐えるだけの国の力があればいいけど、日本の場合はそうはいかないだろう? まだまだ、これからのところがある中で、マスコミやファンに厳しい目を向けられたら、それに耐えるだけの力は、今の日本ラグビーにはどう考えてもない。もし、そうなったら、もともと小さなマーケットだったものが、より小さくなってしまう。それでは、せっかく育とうとしている芽を摘んでしまうことになる。そうではだめだろう、と。せめてその芽が育つまでは、ファンもマスコミもそれを育てていくような努力をしなければいけない。ワールドカップ、トップリーグも、そういう位置付けで見ていかなければいけない。
元 木そうですね。
平 尾僕が解説を引き受けようと思ったのは、誰かがそういう役割を持ってみんなに語りかける必要がある。例えば日本がワールドカップで、最悪の結果を招いたとしても、「今、トップリーグが始まったばかりで、ここにいる選手たちが本当の強さを発揮するのはこの先なんだ」とか、「人材的にも次の世代も育ってきているから、明るい兆しもちゃんと見えている」ということを、今、誰かがきちんと言わないと、日本ラグビーの将来というものは絶対、みんなに伝わらない。その役割を他の人には任せておけないと思ったので、今回は僕が引き受けましょうということになったわけでね。
元 木そういうことに気づいている人は結構いると思うんですが、なかなか発言してくれない。それは僕ら選手にとっては残念なことですよね。トップリーグが開幕して、選手の意識は劇的に変わりましたからね。ジャパンにしていい選手は確実に育っている。そういう意味で、もっと大きな目でラグビーを見て欲しいですね。
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