吉 原
ところで、ラグビーでは、チーム内でどのくらいの年齢差があるものなんですか?

平 尾上が34〜35歳です。下は、大卒で入ってくる選手が多いので、22歳ぐらいですね。ですから、一回り以上は違うことになります。女子バレーと大差ないのかな。

吉 原ただ、男性はサバサバしているから、いいなと思います。その点、女子の世界は、けっこう難しかったりするんですね(笑)。

平 尾たぶん、そうだろうと思います(笑)。

吉 原選手によって、サバサバしている性格もあったり、内に秘めてしまう性格もあったり、さまざまです。だから、ひとりひとりの性格を見抜くことが大切なんです。この選手にはキツイことを言ったらダメだとか、逆に少々キツイことを言っても後でフォローをすれば大丈夫だとか…。それを把握するのが、大変でした。

平 尾吉原さんに、そういう視点があるのは、すばらしいですね。一般的には「こうだから、(自分に)ついて来い」という感じで、チーム全員をひとくくりにしてしまうものです。でも、それではチームや組織は機能しません。チームリーダーはひとりひとり、個々に対応していくのが、これからのチーム作りに求められることでと僕は思っています。

吉 原そうなんですね。それは私も今回、実感したことのひとつです。それは若い世代の選手たちが変わってきたからということでしょうか。

平 尾それもありますが、一昔前のチーム作りの基本は「カリスマ性のあるリーダー」を置くことだったんです。しかし、今はリーダーがカリスマ性を保てなくなってきています。情報化社会ですから、指導をしている時には素晴らしい人なのに、夜になると飲兵衛になって、女性にもだらしがないというような話はすぐに広まってしまいますからね。だから、カリスマ性なんて、保てない。
 そうすると、リーダーシップで必要になってくるのは、逆に選手に気を使ってあげること。つまり、人となりを見てあげて、選手によってアプローチの仕方を変えていくというようなことです。同じことを言うにしても、かなり厳しく言わないとわからない選手には厳しく言うし、デリケートな選手には傷つけないように言葉を選ぶというように、個別的な対応が必要なんです。だから、マニュアルのようなものは、全然通用しない。個人を見極められる能力がないとダメだと思います。

吉 原おっしゃるように、マニュアルというのは通用しませんね。12人いれば、12通りの対応の仕方があると思います。

平 尾バレーはラグビーよりもプレーヤーの数が少ない分、コートの中ではひとりひとりの影響力が強い競技です。だからよけいに、リーダーが選手の人となりを見極めた上で、声をかけたり、プレーを選択したりすることが必要になってくるんでしょうね。

吉 原そうですね。プレースタイルの把握だけでなく、性格を熟知することで、その選手がミスをした時の声のかけ方にも違いが出てきます。

 

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