S C I X平尾さんの指摘された「意識はプロフェッショナルでなければいけない」というのは、神戸製鋼の7連覇時代も苦労された部分で、連覇の後半、神戸製鋼が大人のチームと言われたのは、そういった精神的な面が出来上がっていたということなんでしょうか。
平 尾そうですね。でも、こういうことは1年や2年ではなかなか無理なんですね。時間をかけて取り組んで、それで初めてチームに根付いてくるものなんですよ。そのためには、それを経験した選手が、次の世代の若い選手に自発的に教えていくようにならないと。
土 田そのとおりですね。
平 尾そうした循環が出来ることで、初めて強いチーム、組織が出来上がるんですが、それはサイクルとして急にバッといくものじゃないんです。例えばそういうことを最初に土田が言い出したとして、まずそれに共感を覚えてくれるプレーヤーがいて、彼らが何年かやっていく中で、新たに入ってくる選手たちに、今度は土田抜きでちゃんと教えていく。そういう循環が出来てきて初めてチームの中に一つの形というか、いわば伝統のようなものが出来てくるんですよ。
土 田そうだね。今の話でいうと、うちはバックスの選手が食事で増量する場合が結構多いんですが、バックスだから体脂肪は7〜8%とかに抑えて、体重だけを10L増量しなければいけないということがあるんです。最初、小野澤(宏時・FB)なんかは、栄養士がついてくれて、いろいろ管理してやってくれたけれども、1年くらいかかりました。次の年、今度は栗原(徹・WTB)が入ってくるんですが、彼の場合は栄養士に言われたからとか、僕らが言ったからとかではなくて、小野澤がやっているからということで真似しようとするんです。そうすると、8か月くらいでできるようになるんですよ。今年入ってきた新人がそういうのをまた見て、教えられてやると、今度は6か月くらいでできる。瓜生(靖治・CTB)なんかも10L増量しましたが、体脂肪率は変らない。少しは社会人として通用する身体になってきたわけです。それがやっぱり、平尾が言うように、僕らが押し付けるのではなくて、選手の中から自発的に出てきたことが、どんどん伝統のようになってきているということだと思いますね。
平 尾そうだと思います。それがないといいチームになっていかないね。組織としても。
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