平尾そういう意味では留学先としてオーストラリアを選んでよかったんじゃないかな。この国はもともと多民族国家で、ラグビーでもいろんな人間が来てプレーしているしね。ただ、日本のプレーヤーということになると、まだ代表クラスが来てプレーしたことはないわけだけど、大畑の場合はセブンスでも名前を上げていることもあって、非常に期待もされているしね。
大畑それについて、ちょっと面白い話があって。僕がこっちで1stグレードに上がったとき、ある選手が「日本にものすごく足の速い選手がいるだろう。そいつの名前は何ていうんだ?」と聞いてきたんですよ。で、僕が「どこで見たんだ?」と聞いたら「セブンの大会で見た」というんですよ。
平尾ほーっ、それで?
大畑ああ、たぶんこいつは僕のことを言ってるんだろうなと思ったから「そいつはDAISKE OHATAというやつだ」と答えたんですよ。そしたら彼が「その選手はいま、どこでプレーしてるんだ?」と聞くから「オレがそのOHATAだ」と言ったんですけど「違う!」と言うんですよ。「そいつはもっと髪が長かった!」と。
平尾ハハハハ、セブンの大畑は別人だというわけやな(笑)。
大畑それから僕が「セブンのときは髪を長くしてるんだ」と説明してやっと分かってもらいました(笑)。
平尾それはいい話やな。でも、チームメートが皆、フレンドリーだということも含めてノースというチームの選択は正解だったよな。実際、今季は州選手権ではトップを走っているクラブなわけだから。日本でいったら神戸製鋼とかサントリーに入ってゲームに出ているようなものだから、その中で1stグレードでゲームに出ているというのは、大畑が大いに評価されていると考えていいんじゃないのかな。できれば、そういったものを自分の経験として持ち帰って、またみんな伝えていくような役割を大畑が果たしてくれればと思う。
大畑でも、正直いうともっと弱いところのほうがよかったかなとも思いました。そのほうがもっと試合に出られたかな、と(笑)。
平尾でも、それはどうなんだろう。大畑の場合は日本代表というプライドもあるだろうし。結局、現時点で1stグレードでは何回試合に出てる?
大畑1stグレードではまだ1試合半です。僕がちょうど1stで出始めた時にけが人が多くなって、そちらに外国人選手を出さなければならなくなったんです。「外国人枠だから我慢してくれ」と監督には言われましたけど。
平尾外国人枠は何人?
大畑二人なんですよ、ゲームに出られるのは。
平尾二人か・・・それはきついな。けど、監督がそう言っているというのは、外国人枠云々という以上に、ゲームをするうえで出さなければいけない選手、必要なポジションがあるということだからね。
大畑そうなんですよ。
平尾これは日本でもそうだけど、そのときのチーム状態によって必要な選手というのは決まってくるわけだから、ここで焦ってみても仕方がない。けが人が戻って、チーム状態が整ってくれば必ず出番はあるわけだから、そのときにいかに最高のパフォーマンスを発揮できるか、そのことを考えて準備をするべきだと思う。
大畑はい、僕もそう思っていつ声がかかってもいいように、準備だけはしています。
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