平尾 ところで、大畑はこちらに来て初めてヨーロッパ型のクラブというものを経験したわけだけど、クラブライフというものについては、どんな印象を持った?
大畑 それが、日本にいるときよりもチームの人間と接する機会が多いんですよ(笑)。神戸にいるときというのはサラリーマンですから、会社で接したり、チームで接することが多いんですが、こっちではもっと個人というか、プライベートな感じで入ってこようとしますね。
平尾 それは練習以外の時間でも?
大畑 はい、「今度、家族連れて家に遊びに来ないか」とか。特に試合のあるときは「試合が終わったら飲みに行こう」とか、常に誰かが誘ってくれます。
平尾 もう何回かそうした誘いを受けてみた?
大畑 家に誘ってくれた選手が、たまたま仕事が忙しくて練習に出て来れないので、まだ家に遊びに行ったことはないですけど、試合のあとは「ビール飲みに行こう」と誰かしら声をかけてくれます。
平尾 それは、ひとつには日本から一人で来て、寂しい思いしてるんじゃないかなという気遣いもあるんだろうな。僕なんかも経験があるけど、そうした気遣いというのがクラブライフのいいところだからね。英語も分からないし、面倒だなと思っても、一度や二度はそうした誘いも経験したほうがいいと思う。
大畑 でも試合のあと、みんなでビール飲んだりして酔っ払っているときのほうが、なぜか言葉は分かりますね。
平尾 それはそうだよ、みんな酔っ払って本能に帰るわけだから(笑)。
大畑 ハハハハ、そういうこともありますね(笑)。でも、みんな気のいいやつだなぁと思いましたね、こっちのやつらは。嫌味がないんですよ、付き合い方に。日本だと「オレが面倒みてやっているんだぞ」という場合も多いじゃないですか。そういうところがないんですよ、全然。それこそ「もう、ええって!」というぐらい、いろんなところに連れまわしてくれます(笑)。
平尾 こっちは試合の後で疲れてるだけどな(笑)。
大畑 行った先々で「今度、日本から来たやつなんだ」と紹介してくれたり。それで一度会ったらみんな友達なんですよ、こっちは。これはすごいな、と思いましたね。
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