第5回ラグビーワールドカップが開幕。日本代表は悲願の決勝トーナメント進出を目指し、激戦の予選リーグを迎えているが、今や精神的支柱としてJAPANを支えているのが、バックスリーダーの元木由記雄選手だ。テストマッチ出場の名誉を表すキャップ数は60を超え、史上最多記録を更新中の彼がラグビーを通して何を表現し、伝えようとしているか。オーストラリア入りする直前に前監督でもある平尾理事長との対談をお願いした。(取材:10月3日/神戸製鋼にて)

平 尾元木も知っているように、日本は2011年にワールドカップを誘致しようと、日本協会もそのために誘致委員会を作って、手を挙げたよね。これについては、選手の立場でどう思う? 母国開催というのは、選手にとっては一つの夢でもあるわけだけど。

元 木もし実現したら嬉しいですよね。自分の国でワールドカップが開催できるなんと、少し前まではまったく考えられないことでしたからね。

平 尾もちろん、プレーヤーとしてみたら、年齢に関係なく、チャンスがあれば、みんな出たいと思うだろうけど。

元 木う〜ん、僕の場合はちょっと難しいかもしれませんね、11年は。

平 尾4年後のフランス大会が、年齢的という意味ではギリギリぐらいかな?

元 木そうですね、36歳になってますから。でも、36歳だったら結構いけるかもしれませんね。気合モノでやっていけば(笑)。

平 尾そうだよ、僕はまだまだ「やりたいです」と宣言してね。だって、キャップ数にしても世界的なレベルから見れば、64〜65というのは中途半端だろ? フランスのセラにしても世界的なセンタープレーヤーは、みんな100を超えてるわけだし。

元 木そうですね。

平 尾だろ? 後輩の目標になるためにも100まではやりたい、と。そうなると協会も「元木をバックしてやれ」と、一年間に10試合ぐらいテストマッチ組んでくれるかもしれない(笑)。

元 木ハハハ。それならいけるかもしれませんね(笑)。

平 尾そうだろ(笑)。まぁ、一年に10試合は冗談にしても、長く代表を務めるということは、誰にでもできることではないんだから、元木には「どれだけ自分の体をケアして、気持ちをコントロールして取り組めば、長くプレーできるんだ」ということを、その後に続く後輩たちのためにも示して欲しいと思うね。

元 木そうですね。ラグビーをどれだけ好きでいられるか。自分ではもっともっと好きになって、プレーも続けたいと思っているので、一日でも長く頑張りたいと思います。

●プロフィール
元木由記雄(もとき・ゆきお):1871年8月27日、東大阪市出身。英田中学でラグビーと出会い、大工大高、明治大学を経て神戸製鋼入り。高校時代から抜群の突破力とハードタックルで鳴らし、将来の代表CTBとして嘱望される。91年、明大2年時に日本代表北米遠征で初の代表入り、対米国戦で当時の平尾選手の負傷交替でデビュー、初キャップを得る。以来、不動の12番として日本代表を支え続けている。ワールドカップは91年の第2回大会以来、4回目の出場。代表キャップ61(W杯前まで)は歴代最多記録を更新中。

 

 
 
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