松 尾教育でもスポーツでも、あるいは町造りや国造りにおいても、長期的なスパンでデザインを考えていくこと同時に、その時代時代に生きている人たちの感動や楽しみ方を取り入れていくことも非常に大事だと思っています。つまり可変性、フレキシビリティが必要じゃないでしょうか。
平 尾おっしゃるとおりですね。可変性がなくなると、衰退してしまいます。
松 尾そういう意味では、ラグビーは変わってきているのですか?
平 尾一昔前、ラグビーはパブリックスクールで熱心にプレーされていました。スポーツという本質は崩さずに、その中に教育的価値を見出していたんですね。ラグビーのルール自体も、「教育」という観点から構築されていました。それが、ある時期からラグビーは大衆化に向けて進み始めました。一般受けする方向へ走り出したんです。そのために、エンターテイメント的な考えのもとでルールも構築され、今のようなプロスポーツ的色彩の強い形態ができあがってきました。日本の現状もそれに合わせて、ようやくプロ化にシフトしているところです。プロ化を成功させるためには、収益があがるようにすることが必要で、大衆化はさらに進んでいくと思います。
要するに、教育的価値の高さを求めていた方向から、エンターテイメントという方向へ変わり、それによってルールも変わってきているということですね。
松 尾もともと、スポーツは非常に教育性が高いものですよね。それが、大衆化に向かっているわけですね…。
平 尾そうですね。
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