平 尾今は、どの分野でも「変革の時代」という表現が使われています。ビジネスの世界はもちろんのこと、僕らが接しているラグビーなどでもそうです。おそらく、教育現場でも同じではないかと思うのですが、先生はこの「変革の時代」をどのようにとらえ、どういう時代だとお考えですか?
松 尾そうですね、世紀末から新しい世紀にわたるときには、往々にしてパラダイムが非常に変わるんですね。“パラダイム”という言葉の意味は、「その時代を画した支配的な考え方」という程度に受け取っていただけたらいいと思います。思想とか秩序とか、制度、技術というようなものは、発達し、飽和して、一面では退廃を迎えるというのが普通です。それを、ここで一挙に転換しようという、そのパラダイムの変換が世紀末に起こりますね。ただしこれは、天才は別です。天才は、時間や時空を無制限に、改革を起こしますからね。しかし普通の人間は、世紀末になると長く続いてきたものを何とか変えようという動機が生ずるんですね。
平 尾政治、経済、産業構造とか、あらゆるもので大変革が起こっています。経済などもボーダーレスになっていますね。
松 尾教育の分野も同じです。1990年代の中頃から、「このままでは、だめなんじゃないか」と言われるようになりました。どんな組織でもそうでしょうが、30年、50年、ましてや100年経ってきますと、やはり改革の必要が出てくるんですね。ですから、そういう意味では、あらゆる分野での大変革期だととらえています。
平 尾世紀の変わり目が生む大変革ですね。
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