平 尾そういう意味では、これからは教える側が変わっていかないといけない。競技団体も指導の仕方を考えていかなければいけないでしょうね。

原 田そうなんです。

平 尾ただ、サッカーはものすごく変わってきましたね。実は先日、神戸でジー・ゲームス(G-games)のイベントがありまして……、ジー・ゲームスというのは、神戸にラグビー、サッカー、アメリカンフットボールという3つのフットボールのトップチームがあることから、それぞれが協力し合ってスポーツ振興などを目指そうと組織されたものなんですが、そのイベントでラグビー、サッカー、アメフトをやっている子どもたちに、今度は別のフットボールに親しんでもらおうという企画があって、僕もトークイベントに出席したものですから、子どもたちの様子を見ていたのですが、教え方が最も進んでいるのはサッカーだと思いました。

原 田なるほど。教え方に、どんな違いがありました?

平 尾まず最初に、集まった子どもたちに、何をするかコーチが説明をするのですが、サッカーはその時間が短いんです。5分も子どもたちを座らせていない。パッと説明して、ワーッと散って、すぐに体を動かす。別のメニューに移る場合も、ちょっと集合させて、また簡単に教えてすぐに実践に移る。ところが、ラグビーは長い(笑)。

原 田いろいろ能書きがあるわけですね(笑)。

平 尾子どもたちはラグビーのルールに慣れていないから、基本的なことは教えないといけないという必要はあるんですが。

原 田安全ということもありますしね。

平 尾はい。だから、サッカーのように短時間ですませるのが難しいということは、大変よくわかるんです。ただ、子どもたちにしてみれば、いろんな説明を長く聞かされるより、わけがわからなくても「とりあえずやってみろ」という教え方をされたほうがおもしろい。サッカーの指導はそのあたりのことが進んでいる。そこまで考えて、コーチングのテクニックを学んでいるんだと感じました。

原 田確かに、サッカーは指導者研修もしっかりやっていますからね。だから、Jリーグの選手にはなれなかったけれども、プロのコーチとしてやっていこうという人たちが増えました。彼らは教え方のプロです。プロ化したことの効果が、そういうところにも出ていますね。

平 尾そうですね。これだけ情報が増えた時代に、自分の経験値だけで指導していくのは難しいと思います。これからいろんなスポーツも、そういうところも見習っていかないと。競技の枠を越えて、お互いに学びあっていく必要があると思いますね。

 

 
 
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