青 島今年の話ですが、ソルトレイク冬季オリンピックに行って来ました。長野オリンピックのときには、金銀銅合わせて10個のメダルを取ったけれど、今回はスピードスケートの清水(宏保)君の銀メダルと、モーグルの里谷(多英)さんの銅メダルの2個だけでしたよね。長野に比べたら激減ですが、今回の結果と企業スポーツの衰退とは密接な関係があると思うんです。長野オリンピックは自国開催ということで、いろいろな方面から強いバックアップがあった。企業も不況の中で苦しかったかもしれないけれど、「長野に向かって」という大義名分があったから応援できたんだろうし、実際に企業の支援はとても熱心でした。しかし長野以降ソルトレイクまでの4年間はこのときとは打って変わり、選手を支える環境が厳しくなった。長野まではどうにか応援したけれども、それ以降はもう無理だという企業が多かったんですね。不況のあおりで倒産した会社もあったし、廃部や休部になったところもあった。そこまでいかなくても、海外遠征など強化のための資金を捻出できないところも出てきた。そういう中で、何人かの選手たちは個人的にスポンサーを集めて、強化費用をまかなってきたんです。世間ではそれを「プロ化」と言って、華やかに取りざたされたりもしましたが、実際には苦しい事情もあったわけです。さらに、長野以降、後進のリクルーティングをほとんどしていないでしょう。トップ選手を下からあおるような若い芽を採用してこなかった。だから、長野とソルトレイクはほとんど同じ顔ぶれで、長野以降のレベルアップに関してはほとんど選手個人に委ねてしまっていたわけです。
平 尾なるほど、そういう事情があったんですね。それなら、メダル2個という結果も当然だったわけですね。
青 島むしろ、頑張ったと言えますよ。企業スポーツが衰退していくことで、冬のスポーツのトップ選手の競技力は如実に低下していったわけです。
平 尾そんな例からも、競技力を向上するには企業の支えが不可欠であることがよくわかりますね。
<<つづく>>
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