青 島ラグビーはどうなんですか? スーパー…?
平 尾スーパーリーグ(*)ですね。03年からのスタートが先ごろ決まりました。(*全国の社会人トップクラス12チームによる新リーグ。総当たりのリーグ戦と決勝トーナメントで、年間70試合を予定。03年9月からのスタートが決定した)
。
青 島もし、そのリーグに入れなければ、撤退するチーム出てくるといわれてるでしょう。
平 尾そうなんです。大切なのはそこです。スーパーリーグが実現すれば、現在よりもハイレベルの競争が行われて、レベルアップにつながるというのはよくわかります。わかるけれど、それと同時に下のレベルのチームのケアもしていかないと。トップのリーグに入れなかったから廃部にしようという企業が増えて、スーパーリーグの下に位置するチームが減少してしまうと、先細りになる可能性がある。さっきの話ではないけれど、ラグビー部を抱えていることが負担になっている企業もあるから、スーパーリーグに入れなかった場合、それを機会に休廃部するところも出てくると思う。
青 島ちょうどいい言い訳になりますね。
平 尾そんな企業がたくさん出てきたら、トップ12チームしか残らないということはないだろうけれど、下部がどんどん薄くなってしまう。長い目で見るならすそ野を広げなければ、トップレベルの競技力を高めるのは無理なんです。ピラミッド型のように、すそ野が広ければ頂上は高い位置に行ける。その点、サッカーはうまくやってます。JリーグはJ1の下にJ2があって、そこもJリーグがきちんと管轄している。毎年、2チームを入れ替えるということで、J2の競争力を上げているし、「J1入りを目指せ」ということでファンが盛り上がりを見せているところもあるわけです。ラグビーでも同じように、スーパーリーグに入れなかったチームが高い競争意識を持てるようなケアをしていかなければいけないのですが、現時点ではトップリーグをどうするかということいだけで、そこまで手が回っていないという状態です。でも、協会がそれをしなければ、長続きはしないでしょうね。
青 島そう、それは野球にもまったく同じことが言えるんですよ。野球の場合は、プロ野球12球団があって、各球団が持っているファームで若い人材の育成をする形にはなっているけれど、本当の意味でプロ野球を支えてきたのは社会人野球だと思うんです。さっきお話ししたように、全盛期には237(昭和38年)の企業チームがあった。そこでは、将来プロになれるかもしれないという才能を育ててくれていた。つまり、ファームという言い方をすると社会人野球の方たちに怒られるかもしれないけれど、現実的には日本中をカバーする広いファーム組織という役割も果たしている。だからこそ、若い才能が育ち、野球が発展してきた。でも、平尾さんが言われるように、社会人野球がこのままどんどん先細りになると、野球界そのものが危機になる。プロ野球もそういう危機感を持ってすそ野を広げていくような活動や支援体制を整えないと。
平 尾そうですね。
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