祝・優勝!
ラグビー部員・マネージャー・トレーナー募集中!!

SCIX 20th AnniversaryVol.4


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SCIX創設20周年WEB連載企画
―それぞれのSTORY―
優勝記念!緊急特別インタビュー

『甲斐キャプテンと、楽しい仲間たち』

甲斐 隆盛(かい りゅうせい)さん

兵庫六甲農業協同組合勤務
1996年千葉県出身

SCIXラグビークラブの中でも、学生・社会人の部(略・一般の部)はここ数年、15人の試合メンバーがギリギリというほど厳しい時代が続いていた。その再建を託されたのが、社会人2年目でキャプテンに抜擢された甲斐隆盛。「ネガティブなこと、愚痴や悪口は一切言わない性格」でラグビーキャリアや年齢差を超えて人を惹きつけ、3年間でチームを立て直すと、県レベルながら今季の7人制大会で初優勝。「ラグビーが好きで、楽しいから!」という仲間が集うクラブとして、「自主性を大事」に歩みを進めている。

全員ラグビーで、祝・初優勝!!!

──まずは「兵庫県セブンズ大会2022」の優勝おめでとうございます!! 率直に感想を聞かせてください。

甲斐:

ありがとうございます!これが初優勝だと思うんですよね。みんな頑張ってましたね。一応この大会のために、毎週セブンズ用の練習はしてたんですけどね。みんな自分の長所を活かして、やるべきことをやってたと思います。実は、今日がSCIXとして試合に出るのが初めてっていう選手も3人くらいいたんですよ。今日は全員が試合に出られたので良かったです。秋のリーグシーズンに入ると勝ちを優先しないといけないので、なかなかそういうわけにはいかないんですけど、まだ春シーズンなので。

──やはり勝利の味は格別ですか?

甲斐:

そうですね。これまでラグビーをやってきて一番好きな瞬間が、この試合が終わった、勝った後のこの雰囲気、感じが好きなので。フォワードとしてはスクラムで勝った時は凄く嬉しいですけどね。でも、やっぱり試合で勝った時が一番ですね。

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昨年はコロナ禍で中止。実施、第1回目の大会でSCIXが初代王者に。

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2022年5月29日(日)に開催された「兵庫セブンズ2022」で初優勝!

気は弱い(笑)。けど、タックルは怖くない。それがフォワード

──ポジションはずっとフォワードですか?

甲斐:

小学生の頃に父親の勧めでラグビーを始めたんですけど、その頃から選択の余地なくフォワードでした(笑)。でも、フォワードでよかったって思いますね。性格的にバックスは「オレが!オレが!」っていう感じなので。むしろ、そうじゃないとできないですし、気が弱いと絶対できないです。僕はちっちゃい頃から「オレが!オレが!」とはなれなかったので。もちろん人によりますけど、フォワードは全般的に穏やかな人が多いと思います。僕は気が弱いです。ビビりですもん。虫も怖いですし(笑)。でも、タックルは怖くないです。それがフォワードじゃないですか?多分。別に身体を当てるのは怖いとは思わないです。相手チームにとんでもなく大きい外国人がいたら怖いですけど、それでも試合になると怖くなくなるんですよね。やる前はほんまに緊張するんですけどね。試合になるとスイッチが入るというか、集中力が高まるんですよね。きっとコンタクトが好きなんでしょうね。なんかね、仲良くなるのも早い気がします、ラグビーは。心のつながりが強いっていうか。やっぱり体を張ってくれたら信頼できるし、逆に体張れへんかったら信頼でけへんし。そのためにみんな一人一人頑張ってる感じがイイですよね。ラグビーのそういうところが好きで、今でも続けてるんだと思います。

目指せ!近畿Bリーグ昇格

──今日の試合を拝見していて思ったんですが、年下、年上関係なく声もよく出ていて、雰囲気の良いチームですね。今期はチームとして、どういった目標を掲げているんですか?

甲斐:

年齢関係なく声を出して、指摘したりもできますし、年上の人も年下から言われて「生意気やな」って感じることなくやってくれるので、ほんまに良いチームやと思います。今年の目標は(近畿リーグの)Bリーグ昇格です。Cリーグに所属しているチームが6チームで上位2チームが入れ替え戦に進めるっていうシステムです。そもそも近畿リーグに上がったのも最近なんですよね。兵庫県リーグで勝ち上がらないと近畿リーグには入れないので。近畿リーグに上がって以降ずっとCリーグなので、Bリーグに上がったら快挙です。でも、それを目指してみんなで頑張ってます。今年はイケるんちゃうかと思ってます。

15人ギリギリの厳しい時代も

──SCIXラグビークラブでも、一般の部は人数が集まらない時代もあったと聞いていますが、今、部員は何人いらっしゃるんですか?

甲斐:

今、部員は30人くらいいます。それ以前は15人ギリギリの時期が長くて、練習は10人切ったりして、めっちゃ人数が少なかったんです。

──では、その辺りのお話をお聞きするにあたって、ここでチームメイトの竹之下(薫)さんと酒井(康介)さんにも加わっていただきましょう。まずは、お三方の関係性やSCIXに入られた時期について教えてください。

酒井:

僕は京産(京都産業大学)ラグビー部で甲斐と一緒にやっていて、歳は甲斐の1つ上です。社会人になって関西勤務になったので甲斐から声をかけてもらってSCIXに入りました。

竹之下:

僕は甲南大ラグビー部出身で、会社(清水建設)でもラグビーをやっていたんですけど、関西勤務になったのでSCIXに戻ってきた感じです。

甲斐:

タケノコ(竹之下)さんと僕はSCIXラグビークラブ・高校の部の先輩後輩なんです。この3人の中だとタケノコさんが一番最初に一般の部に入って、次が僕で、康介(酒井)さんの順だと思います。

──なるほど。では、甲斐さんが大学卒業後にSCIXに戻ってきたのを機に部員数が持ち返したということですか?

竹之下:

そうですね。ちょうどその頃から人が集まってきたので、立て直しを図った感じです。前々代のキャプテンの時代に、メンバー不足でチームが崩れてしまった危うい時期があったんですけど、前キャプテンの末次(稔)がなんとか持ちこたえていたところに、甲斐とか若い世代が一気に入ってきてくれて。チームを立て直して、やっと近畿のCリーグに上がれたんです。その後、新たなチームとして生まれ変わろうということで甲斐がキャプテンになりました。

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SCIX高校の部の先輩でもある竹之下選手(右)は、良き理解者。

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京産大ラグビー部の先輩・酒井選手(左)も甲斐キャプテンに声を掛けられ入部。

京産大ラグビー部出身、社会人2年目に白羽の矢

──どういった経緯で甲斐さんがキャプテンに任命されたんですか?

甲斐:

前キャプテンの末次さんが指名してっていう感じです。年齢的に僕がちょうど真ん中くらいだったんですよね。僕が社会人2年目だったので、今年でキャプテンになって3年目です。

竹之下:

甲斐が康介も連れてきてくれましたし、京産大のほかのメンバーやSCIXの高校の部の同期も入ってきてくれたんです。甲斐は京産大でやっていたこともあってプレーレベルも高いですし、キャプテンシーもあるということで、チームを若返らせるために前キャプテンの末次が彼を指名しました。

恵まれた環境 & 幅広い年齢層とラグビーキャリア

──部員集めは大変だったんじゃないですか?

甲斐:

SCIXは設備や環境が他のクラブチームに比べると圧倒的に恵まれているので、声はかけやすかったですね。「まだラグビーしたい!」って人がいたら、「また一緒にやろう!」ってなりますし。灘浜のグラウンドに一回来たら、みんなビックリしてますね。

竹之下:

きれいなグラウンドに、クラブハウスも使わせてもらって、男女別のロッカーにシャワー室もありますし。

甲斐:

あと、大学でカテゴリーが別だった人たちも、ここやったら一緒にできるっていうのも面白いと思います。幅が広いですからね、カテゴリーも年齢も。

竹之下:

35歳からラグビーを始めた人もいますしね。息子さんがラグビーをし始めて、「親父やったことないくせに、なんで色々言うねん」って言われたらしくて(笑)。奥さんにも「やってみたら?」って背中を押されてラグビーを始めたんです。長原(聡彦)さんて言うんですけど。長原さんが一番年々上手くなってると思います。口ではおっさんやって言うてますけど、年齢を言い訳にせずやってる姿が凄いと思います。甲斐もそうですけど、京産大でAリーグでやってた人たちも来てくれてるので、本当に幅広いですね。

──年齢の幅はどれくらいですか?

甲斐:

一番年上の世代で40代ですね。一番下は20歳で海上保安官をしています。年上の人たちも含めて、みんな未だに上手くなろうと頑張ってますから、それに負けじと若手もやらなあかんっていうのはあると思います。社会人になって、土曜、日曜にわざわざラグビーしようなんて相当ラグビー好きじゃないとやらないですよね。怪我前提に考えてたらできないですし、あんまりそこらへんを考えられない集団なんです(笑)。

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活動拠点は神戸製鋼「灘浜スポーツゾーン人工芝グラウンド」。

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毎週土曜日18時からの練習では男子中高生の部と合同練習も。

やっぱりラグビーが好き!

──年齢だけでなくカテゴリーの幅も広いということですが、ラグビー経験の違いによる難しさはありませんか?

甲斐:

全然ギャップはないですね。みんなほんまに「ラグビーが好きで楽しいから!」っていう人たちなので。

竹之下:

僕が清水建設ラグビー部でやっていた頃はそんなに強くなかったんですけど、力を入れ出した頃にそこでやってたやつもSCIXで今やってるんですね。彼なんかは当時、日本代表の稲垣(啓太選手)とスクラムを組んだりして、去年までトップリーグでプレーしてたんです。でも、だからといって「俺はトップリーガーだ!」って感じで来るわけじゃないですし。もちろん技術は持っているので、伝えることは伝えてくれるんですけど、仲良くみんなでやってますね。

甲斐:

みんなチームに入る段階で、どんなチームなのか雰囲気見ますしね。そんな激しい性格の人は、少なくとも僕が入ってからは幸いいないですね。逆に来たらどうしよ?今の良いチーム感をぶち壊されたらどうしよ?って感じですね(笑)。

──酒井さんは甲斐さんに誘われてSCIXに入られたということですが、入部の決め手は何だったんですか?

酒井:

大学時代は楽しむよりも勝つことがメインの練習やったんで、京産でのラグビーはきつかったんですけど。それでも「まだラグビーやりたい!」って思える仲間がいっぱいいたんで。みんなでワチャワチャやる方がおもろいから。やっぱりラグビーが好きなので。社会人2年目の時に甲斐が声をかけてくれて、SCIXに一回練習に行ったら、タケノコさんとか、若い子たちもみんなフレンドリーでアットホームな環境やったんで、これやったら仲良く楽しくやれるかなと思ってSCIXでやることに決めました。

竹之下:

僕の知る限りでは、人数が少なくて苦しかった時代はありましたけど。今のメンバーは甲斐を中心に、本当にラグビーが好きで、楽しくやりたいっていう人たちが集まっていると思います。

マネージャー&トレーナー募集中!

──部員数だけでなく、チームの雰囲気も良好で、とても良いチーム状態ということですね?

甲斐:

そうですね。とはいえ、もちろん部員は随時募集中です。あと、実は今、女子マネージャーが1人しかいなくて、トレーナーもいないので、どなたか来ていただけると嬉しいです。

酒井:

誰か紹介してもらえませんか?(笑)

竹之下:

以前はマネージャーがもっといてくれたんですけど、大学生だったのが社会人になって来られなくなってしまって。今は主務として中西(弘和)さんという男性がやってくださってるんですけど。

甲斐:

それはほんとありがたいです。マネージャーさんも完全ボランティアという形で、交通費も出してあげられないし、何もしてあげられないんですけどね…。だから、ほんとに「ラグビーが好き!」っていう方でないと難しいと思いますし、ぜひ、そういう方に来ていただけると嬉しいです。よろしくお願いします!

全員:

よろしくお願いします!!!(笑)

--ここで、青森出張に向かわれるということで酒井さんが退席--

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この大会に向けて取り組んできたことを確認しながらゲームに臨む。

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決勝トーナメントを前に休憩中の一コマ。家族の応援も嬉しい!

SCIXで求められるキャプテンシー

──甲斐さんは、前キャプテンの末次さんに指名されてキャプテンになられたということですが、任命された時はどう思われましたか?

甲斐:

SCIX・高校の部で副キャプテンをしていたんですけど、大学では試合にも出ていなくて。キャプテンに任命されたのはSCIXが初めてだったので、最初は凄い張り切ってましたね。任命されたからには!って。

竹之下:

大学とかで求められるキャプテンシーとはまた違うと思うんです。特に彼なんて京産っていうラグビーの名門中の名門ですから。凄い競争も激しかったと思いますし、やっぱり試合に出てない人がキャプテンにはなりづらいでしょうから。SCIXももちろん「勝ち」を求めていますけど、「楽しくやる」っていうのも大事なので。大学生もいれば、20代、30代、40代…と世代も幅広いですし、それをまとめるとなると彼の人格は大きいと思います。

ネガティブなこと、愚痴は言わない

──キャプテンとして、幅広い世代やラグビー経験の違うメンバーをまとめるために意識していることはありますか?

甲斐:

そんなに特別気を遣ったこととかはなかったですかねぇ。もともと反発するような人はいなかったですし。年上の人たちがみんな助けてくれるので。

竹之下:

そこは甲斐の性格とか人柄もあると思います。

甲斐:

強いて言うなら、キャプテンになってからは、どの年代の人とも話すように心がけています。コミュニケーションをきちんととらないと、みんながどんなことを思っているかわからないですからね。

竹之下:

彼は一言でいうとポジティブというか、一切ネガティブなことを言わないんですよね。そういうところをみんな慕っているんだと思います。明るいですし、人の悪口とか愚痴も聞いたことがないです。

甲斐:

愚痴は確かに言わないですね。親の育て方が関係してるんですかね(笑)?自分ではよくわからないですけど。父親が自衛官をしていて、仕事でほとんどいなかったので、父親には怒られたことがないです。母親は厳しかったですけどね。オカンは口悪いですよ(笑)。もしかしたら、反面教師かもしれないですね。オカンは典型的な関西人なので、すぐに「アホ」とか言いますから。本人は冗談半分とはいえ真に受ける人もいるじゃないですか。そういうことを、どこかのタイミングで考えるようになったんですよね。僕もちっちゃい頃は思ったことを結構言ってたんです。何がきっかけやったかはハッキリとは覚えてないんですけど。僕やったら気にせえへんことやのに、同じこと言われて気にする人がいるんやな、って知った時に、言葉には気をつけないとアカンなって思い始めたんやと思います。あと、イチローが「言葉を大事にしてる」って言ってたんです。僕、イチロー信者なんです(笑)、ちょっとだけ。引退してから結構自分の考えとかを言ってくれるので、YouTubeとかでよく見てます。あの人も自分に厳しく我慢強いと思うので。僕、そういう感じの人が好きなんですよね。

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甲斐キャプテンがまずはボールを持って突破役を担う。

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表彰式を前に、チームを初優勝に導いた甲斐キャプテンの顔にも安堵の表情が浮かぶ。

武藤さんには恩しかない

──先ほど、設備や環境がSCIXの大きな魅力というお話がありましたが、指導陣についてはどうですか?甲斐さんは、神戸製鋼ラグビー部で活躍された華々しい経歴を持つ方々に指導されていますが?

甲斐:

そうですね。武藤(規夫・SCIXコーチ)さんは、SCIX・高校の部からのお付き合いで、今もなので、ほんとにお世話になってます。元木(由記雄・京産大ラグビー部GM)さんに関しては、僕が高校1年生の時にSCIXでコーチをされていて、高校2年の時に元木さんが京産に行かれて。元木さんを追いかけて京産に進んだわけではないんですけど、元木さんがいたからというのは要因の一つです。一応事前に「京産に行きたいと思ってます」っていう話は元木さんにしました。そしたら「そうか、ほんなら受けろよ」みたいな(笑)。周りにも京産のOBがちょいちょいいたので、うまいこと物事が進んでいったんですけど。京産に行くにあたって、「元木もおるし京産行ってみたら?」っていう武藤さんの一言も大きかったと思います。武藤さんにはほんまに恩しかないです。武藤さんはほんまにエエ人やと思います。

竹之下:

武藤さんたまに良いこと言うんですよね(笑)。1年に1,2回指導者っぽい、ほんまに良いこと言うんですよ。あれ、ズルいですよね(笑)。

甲斐:

SCIXは、武藤さんが監督やから良いっていうのもあると思います。自分らでちゃんとやらなってなりますからね(笑)。

竹之下:

そうなんですよね。僕が高校の時に初めて鹿児島合宿とかに行き始めたんですけど、僕が主務代わりに色々手配したりして。本当に良い経験をさせてもらったと思ってます。武藤さんは2000年くらいまで神戸製鋼ラグビー部でプレーをされていたので、僕はギリギリ小学生の時に晩年の武藤さんを現役で観てたんですけど。僕より若い世代は武藤さんの現役時代は全然知らないんですよね。ラグビー好きの親世代は平尾誠二さん(元神戸製鋼ラグビー部・SCIX初代理事長)はもちろん、武藤さん、元木さんがラグビー界のレジェンド(※)っていうのは知ってますけどね。

甲斐:

やっぱりそういう方たちのつくったクラブチームで、トップで活躍されたプレーヤーのもとでできるっていうのもSCIXならではだと思います。

やるならSCIXでしょ!

──確かに。ラグビー界のレジェンドたちですもんね。SCIXのそのほかの魅力というとどういうことがあげられますか?

甲斐:

環境、設備、指導者以外だと、SCIXにはいろんな職種の人が集まっているので、そういう話を聞くのも面白いと思います。

竹之下:

そうですね。さっき話した中西さんはコンサル会社の社長さんですし、甲斐は農協勤務ですし。学校の先生、海上保安官、歯医者さんもいますし。平尾(昂大)くんはサントリーですしね。

甲斐:

平尾さんがSCIXに来てくれたのは僕にとって凄く大きいですね。あの人こそリーダーシップがあるというか、お父さん(平尾誠二さん)譲りの人を惹きつける魅力があると思います。前からちょくちょく練習には来てくれてたんですけど、最初は他のチームで登録してて。「それはアカン!」って思って(笑)、「やるならお父さんのつくったSCIXでしょ!」ってことで、せっせと声をかけたんです。そしたら来てくれはって。ラグビーやってなかったのに誰よりもラグビーに詳しいんですよね。身体能力も高いですしね。さすがです。あの人こそ本当にポジティブですよね。

竹之下:

みんな最初は「え!あの平尾さんの息子!?」ってなるんですけど、彼の人柄で、みんなすぐに仲良くなっちゃうんです。彼も別に息子であることを隠しはしないですけど、「俺の親父はあの平尾だぞ!」なんてことは全くないですし、「親父はそうでしたね〜」みたいな感じで。本当に嫌味がないんです。まさに二世の成功例だと思います。

SCIX創設者・平尾誠二さんの理念を大事に受け継いでいきたい

──平尾誠二さんにお会いになる機会はあったんですか?

甲斐:

平尾(昂大)さんの方が僕より2つ年上なんですけど、ありがたいことに高校の頃から仲良くしてもらってて。僕が大学決まったときに、平尾(誠二)さんがご飯に連れて行ってくださるってことで。平尾(誠二)さんにお会いしたのは、それが最初で最後です。テレビとかで拝見したままの「かっこいい」「ダンディ」っていう印象でした。「おまえ、SCIXでやってるのとは全然違うぞ。キツいから覚悟しとけよ」みたいな感じで言ってくださって。あとは緊張していたのもあって、あんまり覚えてないんですけど。元木さんより緊張しましたね。

──キャプテンとして、これからのSCIXをどんなチームにしていきたいですか?

甲斐:

やっぱり平尾誠二さんがつくったチームですし、20年も続いていますし、大事にしていきたいと思っています。SCIXの理念として、「自主性を大事にしろ」って、平尾さんがみんなに言うてはったっていうのを聞いていたので、そこはこれからも受け継いでいきたいです。実際、練習メニューもみんなで考えていますし。若い子たちも「こういう練習をしたいんですけど」って積極的に提案してきてくれるんです。今年のチームは若手とベテランのバランスが良いので、Bリーグ昇格の快挙を達成できると思ってます!

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7人制大会もクラブチームのレベルは年々上がっている。

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若手選手の積極性がチームを活性化。目標はBリーグ昇格!


(※)ラグビー界のレジェンド

平尾 誠二さん

元ラグビー日本代表・監督。ポジションはスタンドオフ(SO)・インサイドセンター(CTB)。京都伏見工高でラグビー高校日本一。同志社大学では史上初の大学選手権三連覇達成。神戸製鋼では入社3年目より7年連続日本一。ラグビーW杯には87、91、95年と3大会連続出場。89年には日本代表主将としてスコットランドを破り、91年W杯でも初勝利を達成するなど、華々しい活躍から「ミスターラグビー」と呼ばれた。日本代表キャップ35。97~2000年まで日本代表監督を務めたあと、特定非営利活動法人スポーツ・コミュニティ・アンド・インテリジェンス機構(略称:SCIX)を創設、初代理事長に就任。神戸製鋼コベルコスティーラーズ総監督兼GM、日本ラグビー協会理事などを歴任。2016年10月、53歳で逝去。

元木 由記雄氏

元ラグビー日本代表。ポジションはセンター(CTB)。大阪工大高(現・常翔学園)時代から「将来の日本代表」と呼ばれ、明治大学では1年から試合に出場、3度の大学選手権優勝に貢献。神戸製鋼でも1年目からレギュラーとして活躍し、トップリーグ元年には神戸製鋼コベルコスティーラーズで唯一全11試合にフル出場、チームを初代王者に導き、MVPに輝く。19歳で選出された日本代表では、初のW杯4大会連続出場を果たした。日本代表キャップ79の記録(当時の最多記録)から「鉄人」「ミスターラグビー」と呼ばれた。2021年度は京産大ラグビー部GMとして手腕を振るい、チームを23年ぶりの関西リーグ制覇、全国大学選手権決勝に導く。

武藤 規夫SCIX コーチ

元7人制ラグビー日本代表。延岡工高時代に花園出場はなかったが、3年時に召集された高校日本代表合宿で代表候補選手を次々とタックルで倒し、レギュラーに抜擢される。同志社大学では1年からレギュラーとして活躍、大学ラグビー3連覇に貢献する。神戸製鋼ラグビー部では、1年目こそ怪我に泣かされたが、2年目以降は不動のフランカー(FL)としてV7の黄金期を支えた。現役引退後はNPO法人SCIXでラグビークラブコーチとして後進の育成に当たっている。
■入部希望・マネージャー・トレーナーについてのお問い合わせ先
SCIX事務局 武藤コーチ宛 muto.norio(at)kobelco.com(※「(at)」は「@」に置き換えてください。)


取材後記

記念すべき初優勝の場に立ち会えたこと、とても嬉しく、感謝しています。ありがとうございました。

今回取材させていただくにあたって、甲斐さんのお名前(隆盛さん)の由来が気になっていたので、お尋ねしてみたところ、見事予想的中!「おじいちゃんが鹿児島の人間で、西郷隆盛が大好きなんです」とのこと。お父様が「たかもり」は流石に、ということで「りゅうせい」にされたそう。すかさず「名前負けしてるんですよね…」という、その言葉と表情からも甲斐さんの謙虚で優しいお人柄がうかがえました。Bリーグ昇格、期待しております!!!

インタビュー・文(構成)/中野里美