高 崎やっぱり、強制されなければやらないようでは、日本一は取れないと思う。
平 尾そうなんだよ。日本一というのは、強いかどうかということより、それにふさわしいチームかどうかということだと思う。
高 崎そうなんだ。毎日の練習にどう取り組んでするかも含めて、ふさわしくないとダメなんだ。
平 尾日本一になれるかどうかは、最後に神さまが決めてくれるようなところがあってね。とくに高校ラグビーの決勝は、どっちが勝ってもおかしくないという場合が多いよね。でも見ていると、ふさわしいところしか勝てない。そのふさわしいという尺度のひとつに、自主性を持って練習に取り組んできたというのも含まれているんじゃないかな。
高 崎そうなんだ。今年の始めに、「日本一にふさわしいチームになろう」と生徒たちにも言ったんだけど、ふさわしくなるということは、とても大切なことなんだよ。
平 尾強いということも、条件の一つではあるけど、それだけじゃない。僕らの時代は、山口先生が挨拶にはとてもうるさかった。これも、ふさわしいという条件の一つだと思う。昔は、近所に住んでるおじさんとか、お好み焼き屋のおばさんとか、伏見工ラグビー部の選手たちを3年間見守ってくれる人がいたけど、そういう人たちから「立派になったね」と言われるような、そういうことを感じさせる人間になることが、日本一にふさわしいことなんだよ。選手それぞれにそういう成長がないと、日本一にはなれない。
高 崎そうなんだよ。挨拶についても、生徒たちには本物にしようと言っているんだ。「挨拶しないと怒られるから」という感覚でしている子どもたちが多いけれど、それは違う。「挨拶というのは相手に自分の気持ちが伝わらないと本物ではない。挨拶に限らず、すべてにおいてそうなんだ」ということを、性とたちにはよく話しているんだ。高校生がどこまで理解してくれるかわからないけれど、長い目で見たらそういう機会を与えていかないと、自分から物事をやっていくことにならないからね。
平 尾指導者としては大変だろうけど、大事なことだね。日常の細かいことひとつひとつの本質をしっかり身につけさせることで、練習に対する取り組み方も変わってくる。人の目があってもなくても自分たちを鍛えることが当然になって、指導者がいるときにはそこでより高度なトレーニングを受けることができる。一方、個人練習の場では自分一人でしかできないトレーニングもあるから、それを自分のレベルで適切にこなしていくようになる。そういう選手がどんどん育ってくれば、スポーツ全体のレベルも上がってくる。そういう意味でも、その一翼を担っている高崎に対する期待も大きいと思う。
大変だろうけど、ぜひがんばって欲しいね。
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