平尾大畑の今、言った「試合に出られない選手をもっと海外のクラブに」というのは、非常にいいイデアだと思うよ。
大畑はい。日本だと社会人のトップチームでも、年間7試合ぐらいで終わるチームもあるじゃないですか。神戸製鋼でも日本選手権を入れて年間15試合ぐらいですからね。それがこっちだと州選手権だけで18試合あるんですよ。
平尾特に昨年(平成12年度)は社会人大会がリーグ戦なしで、いきなりトーナメントだったから、日本選手権を入れても13試合しかなかった。
大畑それを思えば、こっちはものすごく試合が出来るんですよ。
平尾う〜ん、、これはたしかに検討の余地はありそうだよな。
大畑だから、こっちの選手はみんなタフなんだと思うんです。
平尾そう思うだろう、こっちの選手はタフだって(笑)。
大畑はい(笑)。日本の場合は関西リーグでも1週間に1試合で、計7試合じゃないですか。それも、3か月近くかけて7試合でしょ? それがこっちだと10週連続とか。
州選手権は4月に始まって8月中旬に終わるんですけど、途中で空くのが2週間だけなんですよ 。
平尾あとはずっとゲームやってるの?
大畑その間、ずーっとゲームなんですよ(笑)。
平尾だいたいゲーム好きだもんな、こっちの選手は(笑)。
大畑ほんとに好きですね。その横で子供たちがボール持って走りまわってますからね、タックルとかしたりして(笑)。
平尾その中から将来ワラビーズになるような選手が育ってくるわけだ(笑)。
大畑そうですね。
平尾そうした環境もそうなんだけど、コーチングということでいえば、こちらのコーチというのは日本のように選手を怒鳴ったりしないだろ?
今のプレーはこうだったという話はしても、怒鳴り散らすということは。
大畑ないですね、そういうことは。
平尾そこがまた違うところなんだよ。日本は試合が「ゲーム」でなくて「勝負」になってしまうから、監督やコーチというのはやたらと選手を怒鳴り散らす。確かに練習中にものすごく緊迫するような状況を作ることは必要なんだけれど、それはまた別の意味の緊張感であって、ただ怒鳴ることで選手を萎縮させるような緊張感というのは何の意味もないんだよ。
大畑だからこっちでは「こいつらレベル低いのに、なんでこんな(すごい)プレーすんねん!?」という選手がいっぱいいますね。それこそ片手でボールを放るとか、日本ではトップの選手がそういうことをしても許されるけど、下の選手がそんなことをしたら絶対に許されないということが、いっぱいあるじゃないですか。
平尾それこそ「お前、ラグビーをなめてんのか!」と怒鳴られる(笑)。
大畑プレーが軽いとか(笑)。でも、結果的にそれでボールがつながったらいいプレーなわけですから。こっちではそうしたことが出来る環境があるというか、練習でもみんな伸び伸びやっているのが、すごいなと思いましたね。
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