平尾今回、シドニーに来たのはブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズとワラビーズの最終戦テストマッチ(7月14日:豪州29−23ライオンズ)を観戦しながら、こちらでの生活ぶりをじっくり聞かせてもらおうということなんだけれども、考えてみたらこうやって二人で対談するのは初めてのことなんだよな。
大畑はい、平尾さんと二人だけで話をすること自体、あまりないですからね。
平尾アハハハ、そう言われてみるとそうやね(笑)。チームではいつも誰かと一緒やしね。まあ、それはさておき、大畑のこちらでの生活ももう約4か月、ノースでは1stグレードでのゲーム出場も果たしたということなんだけど、こちらの選手と一緒にゲームをしてみての感想を、まず聞かせてくれないか。大畑のいるノースはNSW州選手権で首位の強豪だろう。従って、チームメートや対戦チームの中には州代表やスーパー12に出場するような選手もいるわけで、言ってみれば日本代表がゲームをするような環境の中で毎日、プレーしているわけだろう。そんな中でプレーをしてみて、大畑が一番感じた違い、差というのはどんな点だった?
大畑そうですね、こちらへ来て僕が一番感じたのは「気持ちの差」ですね。僕はゲーム前にすごく熱くなるとか、そういうのが日本にいるときからあまり好きではなかったんですけど、こっちに来たらみんなすぐに熱くなるというか、そういうところがすごいと思いましたね。
平尾ということは、こちらの選手はゲーム前にはすごいエキサイティングするわけ?
大畑いえ、試合前にはそんなことないんですよ。
僕が初めてこっちに来て試合に出た週に、たまたまノースクラブのパーティがあったんですが、そのときなんか試合前にみんな「今日のパーティにお前も来るのか?」という話してましたからね。それが試合になった瞬間に・・・。
平尾切り替わるわけだ。
大畑そうなんです。ウォーミングアップする前まで、みんなその話ばかりしてたんですが、アップが始まって試合になった瞬間に、アンガス(元日本代表アンドリュー・マコーミック選手)がいつもそうだったように、顔を硬直させて闘志をむき出しにするんですよ。「あぁ、こいつらすごいなぁ」と思いましたね。
平尾アンガスのように全員が「瞬間湯沸し機」というわけだ(笑)。
大畑そうなんですよ(笑)。さっきも言ったように、僕はそういうのが一番嫌いというか、ちょっと違うんじゃないかなとずっと思っていたんですけど、こっちへ来たらそういうのが普通の光景というか、当たり前のことなので「ほんま、こいつらすごいなぁ」と。
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