平尾村上さんがおっしゃったようなスポーツに対する考え方は、これからの社会にものすごく必要だと思います。それと同時に、スポーツの社会的な価値を高めていくことも重要だと考えています。現在、スポーツの社会的な価値というのは、あまり高くはありませんよね。なぜかというと、スポーツと体育を混同しているからなんです。体育というのは軍事教育の一環であったわけですが、その中にスポーツが取り入れられ、押し込められてしまった。本来、スポーツと体育とは異なるものですが、我々の中には同一のものとして体育的思想が強く植え付けられているんです。
村上なるほど。
平尾ほんとうは「楽しいからやるんだ」というのが、スポーツの一義的な目的ですが、軍事教育の一環の体育ではスポーツの楽しさを抑圧してきた。そして、協調性を身につけるとか困難に耐えるとことを学ぶといったことが、スポーツの主題になってしまったんです。現在の日本でスポーツの社会的な地位が上がってこないいちばんの要因は、そこにあると思うんです。
村上そうかもしれないですね。
平尾だから、これからはスポーツをすることはおもしろいんだということを、しっかりと教えていくべきなんです。さらに、そうすることがスポーツの教育的価値を増大させることになるんじゃないかと思っています。僕が理事を務めているNPOでも、「スポーツコミュニティー・アンド・インテリジェンス」という言葉を使っているんですが、インテリジェンスというのはスポーツとは対極的なところにあってあまり関わってこなかった。でも実は楽しいことをすることによって、人間はものすごく知恵を出して工夫をしたり考えたりする。イメージも豊になるんです。このことは、スポーツにとっても最も重要なことなんじゃないかと思います。だから、スポーツをする環境を、体育的なものからおもしろいというところに変えていかないと。これからの時代を考えると、そう感じますね。
村上そうですね。そういう付加価値をつけていくことも、これからのスポーツのあり方だと思います。そのためにも、平尾さんには尽力していただきたい(笑)。
平尾はい。本日はありがとうございました。
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