平 尾私が「システムは最後や」と言ったのも、個人個人が持っている潜在能力を最大限出し切ったうえで、うまく組み合わせたりつながりをもたせたりして、システムを作っていくほうが、じゅうぶんに人材を活用できると思ったからなんです。僕はよくフレームを例に出すんですが、たとえばひとつの仕事を12人で担当するとしましょう。まずフレームを作って12等分し、そこに当てはまるように出っ張った部分を削った、あるいはよそからピッタリの人を捜してきたりして、隙間なく埋めていくというのがこれまでの日本の組織論だったように思います。でも、その方法では、決してあらかじめ設定したフレームを超えることはできない。それは人材活用においては、非常に大きな損失だと感じるんです。それに、おもしろくない。僕は、個人個人がもっといびつな形をしていていいと思うんですよね。

今 田そうなんですよ。

平 尾出っ張りを切ったり削ったりしてフレームに収めるということは、その人がもともと持っている面積や体積を縮小させてしまうことになる。それがひとつのチームプレーのように言われますが、僕はそうではないと考えています。出っ張りは出っ張りで「何かに使えるぞ」と、使い道を考えた方がいい。もう一人いびつな人がいるなら、それと組み合わせてみればいい。案外、しっくり収まるかもしれない。さらに、いろいろな形を組み合わせていけば、隙間はできるかもしれないけれど、最初のフレームより大きい面積のフレームが作れるわけですよ。隙間だらけで、出っ張りもあるだろうけれど。しかし、そこからが大切なんです。先生のおっしゃるように自己変革していくことで、液がにじみ出るような感じでその隙間は埋まっていく。そうやって出来上がったものは、最初のフレームのようなきれいな真四角ではないかもしれないけれど、隙間が埋まってそれなりの形を新たに作る。それが、成長だと思うんです。だから、そういうことを見越して、意図的に組み合わせや連結をさせていくほうが、絶対におもしろいんですよ。

今 田私もそう思いますね。

<<つづく>>

 
 
Copyright(C)2000 SCIX. All rights reserved.