平 尾指導する側が変わらなければいけないという話をしてきましたが、それ以前に、最近、スポーツをする子どもたちが減りつつあるという問題もありますね。
原 田由々しき事態ですよね。学校のクラブ数を見ても、サッカーとバスケットについては増えているようですが、ラグビーはずいぶん減少しています。高校ラグビーなどは、全盛期の半分ぐらいになってしまったのではないですか?
平 尾そうなんです。
原 田そういう意味で、日本のスポーツは大きな曲がり角に来ていますね。サバイバルゲームが始まっているというか…。
平 尾しかも、そのサバイバルゲームが、非常に拡大されてきているように思いますね。例えば、少し前なら「どこのチームか」という戦いだった。高校ラグビーなら、大阪だと“啓光学園と大阪工大高”といったようにチーム間の戦いだったものが、近年はそういうレベルではなくなってきている。“野球対サッカー”というようになってきています。
原 田そうなんですね。
平 尾さらに最近では、「メガ・コンペティション」という時代に入って、戦いがどんどん大きくなっています。そこでは、“チーム間”とか“スポーツ間”という範囲ではなく、“スポーツ対テレビゲーム”とか“スポーツ対パソコン”、“スポーツ対塾”“スポーツ対携帯電話”などといったところまで視野を広げて見なければならないところまできている。“スポーツ”という小さな世界だけを見ていても、ダメなんですね。
原 田確かにそういう様相になってきましたね。
平 尾だから、「野球だ、サッカーだ、ラグビーだ」と、それぞれが主張し合っているのではなく、もっとスポーツ同士が連結し、必要なら教育とも連動して戦っていかないと。
原 田まずはそこで戦って、パソコンやテレビゲームに取られていた子どもたちを、スポーツのほうに引っ張り出さないといけないんですね。
平 尾今は、そういう戦いをやるべきときだと思います。
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