聞き手:美齊津二郎(SCIX理事)
撮影:高木優子(Special thanks)
──まずは「長い現役生活、ご苦労様でした」という言葉から、今日は入ろうと思っていたのですが、すでにU-20日本代表のヘッドコーチとして、この5月にロシアで開催されたIRBの年代別トーナメント「ジュニア・ワールド・トロフィー2010」で指揮を執られていますので、世界大会でのコーチデビューも含めて「ご苦労様でした」という挨拶にさせていただきます(笑)。
元木:そうですね。すぐに新しいことが始まってしまったので、引退がどうのこうのという感傷に浸っている暇もなくて(笑)、むしろ新しいことに精一杯といったところですね。U-20日本代表のヘッドコーチについては、僕自身もう少しコーチの勉強をしつつやっていこうかなと思っていたのですが、日本開催が決まっている2019年のラグビーW杯に向けて、若い世代の選手をこれから育てなければいけない重要なポジションになるので、やりがいもあるだろうし、昨年はコーチとして呼んでもらい、薫田(真広前監督・東芝)さんの下で選手を教えながら勉強もさせてもらったこともあるので、その経験も活かせるだろうとチャレンジすることを決めました。
──今回の「ジュニア・ワールド・トロフィー2010」は昨年、日本で開催された「ジュニア・ワールド・チャンピオンシップ2009」(JWC)の下部大会で、ここで優勝すればU-20のW杯といわれるJWCに昇格する権利が与えられ、アルゼンチンで開催される「JWC2010」に出場するチャンスもあったのですが、結果的には決勝でイタリアに7−36で敗れ、2年ぶりの昇格を果たせませんでしたね。
元木:やはり勝たないと、優勝して初めて結果が出たということですから、2位ではだめだと思っていますし、その点では僕自身責任を感じています。今回の一つのターゲットは、JWCに早く上がってトップ12のチームと、この年代から戦っていく。その中で、いろいろなゲームを経験しながら、世界のベスト8に入るチームを作るという目標がありましたから、予選プールを1位で通過しながら、最後に勝てなかったのはまだまだ力不足だということですね。そのあたりを考えて、今年は1年かけて計画的にチーム作りをしていこうと思っています。そうすればイタリアを捉えることも、勝負事ですから十分可能性は出てくると思います。そのためには、もっと自立したチームを作ることが大事だと、今回も選手たちには伝えました。ただ、監督やコーチにいわれたことだけをやればいいではなくて、自分たちで考えてプレーのできるチームになって欲しい。戦略や戦術なり、チームとしてどう戦うかはこちらで考えるから、それをグラウンドでどう実践するかを考えられるチームになって欲しい、と。確かに2019年を今からイメージしてやれというのは難しいとは思いますが、自分たちはU-20の日本代表なんだ。JWCに上がって世界と戦うんだという強いプライドを持ってやって行けば、それが日本代表にもつながることですから、ぜひそういう気持ちを持ってプレーして行って欲しいですね。