第9回「SCIX・レフリーアカデミー」レポート
評価:コーチング 太田 始

日時:2013年6月29日(土)13:00〜
場所:JR西日本鷹取グラウンド
参加者:四辻順一朗氏(SCIXアカデミー生・A2レフリー)、
    米谷大助氏(SCIXアカデミー生・Bレフリー)、背川恭朗氏(SCIXラグビークラブ・Aレフリー)

6月下旬ではあるが、気温・湿度とも真夏を思わせる天候のなかで、マツダ対大阪府警(トップキュウシュウとトップウエスト)の練習ゲームを二人のレフリーが担当した。
 四辻レフリーは本年度「A2レフリー」に認定され、将来「A・A1」を目指すレフリーとしてのスタートとなる。シーズン中には当然、三地域のトップチームや大学Aリーグのゲームを、また、トップリーグのアシスタントレフリーも担当することになる。
 米谷レフリーは本年度、B級レフリー認定講習会を受講し上位の成績で「B級レフリー」に認定された。SCIXレフリーアカデミーの研修で、急速にレベルアップしたレフリーの一人として、今後、四辻レフリーを追随していくであろうと期待している。
 ELVではあるがスクラムの組み方が変更され、私自身もこの組み方を実践で見るのは初めてのことであった。起こりえるような事態について両レフリーとゲーム前に話し合いをし、ブリーフィングで両チームに伝えた。両チームプレーヤーの協力もあり、数回の組み直しがあったものの違和感なく見ることができた。

【四辻レフリー】
「ジョッキーポジションに逃げず、チャレンジする」と本人が目標を持って臨んだ。ジョッキーポジションは、プレーヤーの邪魔にならないという利点はあるものの、次の展開を考えるとリスクも高い。(私自身も推奨していない) このゲームでは、ブレイクダウンに寄る→離れる→スペースを作ることにチャレンジし、プレーヤーの邪魔にならないポジションで見ることができたと思う。ただ、前半終了間際に、集中力が途切れたのか不安定なポジションが連続したことが気になった。(意図があればOKですが)
 全体的に、ゲームの流れ、エリアを意識したアドバンテージの適応が非常に良かった。プレーが途切れないよう、チームの勢いを止めないよう本人がかなり意識していたのではないかと思われる。ゲームの流れを止めるような、また、プレーに大きく影響するような反則に対してはタイミング良く、厳しく判定していた。
次の点に関しては検証してみてください。
・デコイランがオブストラクション気味ではなかったか
・大阪府警のNO8のバインドが?
・オーバーザトップの基準がどうか
・ラック・モールサイドやBKのオフサイドが気にならなかったか
・ARとの連携(スクラム・オフサイドのポイントがかなりずれていた)
◎表現は難しいが、上手いけど小さくまとまっている感じがする。(他のレフリーコーチにも言われたことがあるらしい) 「基本は忘れてはいけない」が、年齢や将来を考えると、もっと大胆に、粗削りでもいいのではないかと思う。見えていない、現れていない「良さ」が発見できる。

【米谷レフリー】
 このようなトップレベルのレフリングを担当するのは初めての経験である。本人はかなりナーバスになっていたようである。早い展開、リズム、反則ギリギリのプレーなど戸惑いはあったかもしれないが、臆することなく「落ち着いた堂々としたレフリング」に見えた。堂々としたレフリング見えるのは、体格やゆったりとした動きにあると思う。しかし、マイナス面に働くこともあることを理解しておかなければならない。例えば立ち止まって見ているケースなどはプレーヤーの邪魔になる(感じる)ことも考えられる。
 レベルアップしたことが目に見えて分かったことは、アドバンテージを理解し、うまく適応することによって、チームの戦術が生かされていることやプレーヤーがプレーしやすい環境を創っていることがあげられる。特に、キックオフ直後の両チームの攻防は非常に面白かった。また、エリアを考慮した(ゴール前)アドバンテージの適応でトライが生まれたことも良かった。(レフリングの醍醐味)
弱点も見えた。オープンに展開された時のランニングコースに課題が残った。スタートはしているが、その後のスピードダウンによって「ボールとの距離が遠くなる」こと、プレーヤーが抜け出た時、コースを切り替える「タイミングが遅れる」こと、「フォローコース」で追いかけてしまうことなどがあげられる。早い展開についていけなかったとも考えられるが(フィットネス不足か)、スピードダウンせずボールラインを走ること、立て直すタイミングを逸しないこと(予測も含めて)などで克服できると思う。オープンに展開されてウイングが独走する場面は、レフリーにとっても見せ場。トライはインゴールで笛を吹く気持ちを持つこと。
 次の点に関しては検証してみてください
 ・両チームともオーバーザトップが多かったと思うのですが、基準は?
 ・タックル(ゲート)、ラック・モール(オフサイド)の成立を整理しておく
 ・ブレイクダウンに対してアプローチの角度(ボールポゼション側から)
 ・スクラムの崩れには毅然とした対応
 ◎ブレイクダウンの判定に自信がないように感じました。タックラー、ボールキャリア、アライビングプレーヤー、ラック成立など、他のレフリー(トップレフリー)を見て基準を再考すること。
今は、多くのゲームの笛を吹くことが大切です。

 
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