■ SCIXスポーツ・インテリジェンス講座 西武ライオンズ、ダイエーホークスなどで投手として30年間活躍した野球解説者、工藤公康氏をお招きし、第3回SCIXスポーツ・インテリジェンス講座を行いました。 工藤氏は、実働29年、浪人1年間の現役生活を振り返り、なぜここまで続けることができたのかを講演しました。長きに渡るプロ野球生活の中で大きな転機になったのは、3年目のオフシーズンにアメリカで武者修行したことだったそうです。留学したのは、メジャーリーグの傘下であるマイナーリーグの1A。1日15ドルの日当で、毎日ハンバーガーを食べながら、メジャー昇格を夢見てプレーする、別名「ハンバーガーリーグ」とも呼ばれる、プロ野球で言うところの2軍チームです。練習環境、生活環境など全てが整った日本でプレーしていた工藤氏にとって、1Aでの生活は「過酷」のひと言だったそう。遠征は、バス移動。時には10時間を超える移動の時も。試合が終われば、すぐにバスに乗り込み、次のスタジアムへ。その間の食事は、休憩場所で買って食べるハンバーガー。そんな生活を続けながら、メジャーに上がるために、皆、チャンスを伺いながら、必死にプレーしています。日本では、若い選手は寮生活をし、もちろん一人部屋。朝は寮長に起こしてもらえます。しかもグラウンドまでの距離は500m足らず、雨天練習場まで完備されている。この日米の差を目の当たりにし、工藤氏は、上に這い上がるためには、人から与えられてやらされるのではなく、自分から何をしなければいけないかを考え、チャンスを掴まないといけないということを学んだそうです。それが原点となり、西武ライオンズのエースとして成長していく工藤氏。そして話は、日本一に4度輝いたことがある名監督・広岡達朗氏のエピソードへと移ります。 徹底した「管理野球」で有名だった広岡監督。練習も厳しく、トレーニングの中には、100m走を100本というメニューもあり、選手たちを愕然とさせたとか。そのような練習のせいで、怪我や故障をし、辞めていく選手も続出しましたが、広岡監督は体力のない選手やサボる選手をふるいにかけるために、わざと厳しく行っていたそうです。そして生き残ったメンバーが、西武ライオンズ黄金期を築き上げたのです。 現役引退後は、野球解説者、野球評論家として活動する傍ら、野球教室なども数多く開催する工藤氏。子どもにスポーツをさせる上で大人が注意すべき点などに対しても話してくださいました。氏が特に気になっていることには、最近の子どもに、冷え性が多いということ。冷え性=免疫力の低下です。子どもの身体を冷やさないように、食事に気をつけて欲しいと提言。また9歳から15歳はゴールデンエイジと言われるように、この間、運動神経が伸びていきます。そこでもっとも適しているスポーツは、卓球。動体視力・敏捷性・球を捉える力がつくそうです。野球にも通じるので、ぜひやってみてくださいと氏は話されました。他にも野球肘(離断性軟骨成長炎)についても言及され、定期的に検診し、肘を休ますことが大事だと強調。さらに熱中症対策などにも話は及びました。そして最後に、成長の遅い子、早い子がいることを忘れてはいけないと強く言われました。どちらが後々成長するかと言えば、成長の遅い子のほうが絶対に伸びます。なぜなら、子どもの頃、成長が早く体格に恵まれた子は、腕の力だけで投げれば通用してしまいます。一方、成長が遅く体の小さい子は体を使って投げないといけないので、下半身を使って投げるということを覚えます。そのため故障も少なく、結果的に成長の早い子を追い越すことができるのです。野球は下半身が重要です。子どもの成長スピードを考え、その競技に何が一番必要なのか、それを理解させるような指導をするべきだと話してくださり、講座は無事終了しました。 現役時代の話から子どもの指導まで、多岐にわたる内容で、聴講者の皆様方も満足の様子でした。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
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